タイトル:在宅ワークにも不況の影響大、内職アルバイト型
を中心に仕事の確保難と報酬単価の低下
〜パソコンネット会員対象の99年在宅ワーカー
実態調査結果(速報)〜
発 表:平成11年7月15日(木)
担 当:日本労働研究機構研究所勤労者生活研究担当
(担当者:神谷 隆之<tkant@jil.go.jp>)
電 話 (03)5991-5114(ダイヤルイン)
【調査分析結果の要旨】 《内職アルバイトの割合が低下し、専業自営が増加》 1 在宅ワーカーを就業スタイル別にみると、97年から99年に かけて内職アルバイトの割合が低下し、専業自営が増加して いる。平均の週労働時間は内職アルバイトの20時間に対して、 専業自営は2倍の40時間である。 《継続年数が伸び、ワークスタイルとして定着》 2 在宅ワーカーの平均継続年数は増加傾向にあり、特に98年 から99年にかけては内職アルバイトでの伸びが大きい。 ワークスタイルとしての定着がうかがえる。 ただしこの間、内職アルバイトでは1年未満のワーカーの 割合が低下している。 《仕事の確保難で内職アルバイトの在宅ワークを止めた者が増加》 3 在宅ワークを中止した理由としては96、97年には「一時的 な仕事、勤務スタイル」とする者が最も多かったが、99年には 「仕事が確保できず」がトップとなっている。 就業スタイル別には、内職アルバイトで仕事確保難による 中止者が増えている。 《仕事確保状況は二極分化の傾向》 4 98年から99年にかけて、仕事が「継続的にある」者の割合 が高まる一方、「あったりなかったり」の割合も上昇し、 確保状況は二極分化の傾向にある。 「仕事仲間の情報や紹介」を活用し「自分で営業」する傾向 にある専業自営では仕事が継続的にある割合が高いが、仕事 を「仲介する会社・個人」や「求人広告」などの公開情報に 依存する傾向の強い内職アルバイトでは、確保が難しい状況 となっている。 《報酬単価は「低下」超過に転じ、年収も減少》 5 報酬単価は98年には開始時に比べ「上昇」とする者が 「低下」とする者を10%ポイント上回っていたが、99年には 逆に「低下」とする者が10%ポイント上回っている。 特に内職アルバイトで「低下」超過が大きい。この結果、 平均年収も98年に比べて減少している。 《仕事確保難のワーカーは能力不足や仕事のレベルアップの難しさにも直面》 6 99年調査結果により、在宅ワーカーが困っていることを 仕事の確保状況別にみると、確保難の者は「収入の不安定」 や「単価の安さ」のほかに、「知識・能力の不足」や「仕事 のレベルアップが図れない」ことにも直面している。 一方、仕事が確保できている者は、「腰痛、肩こり、眼の 疲れ」や「忙しすぎる」といった健康問題の指摘が多い。 また「ハードウエアのレベルアップ」という追加投資に関する 課題も相対的に多くなっている。
<研究の目的>・・・在宅ワークを継続的に調査研究 パソコンの普及やコンピュータ関連業務の増加により、会社 へ出勤せずに自宅で仕事を行える労働形態が拡がりつつある。 日本労働研究機構のテレワーキング研究会は、“離れた場所で 働く”という意味のテレワーキングのうち“自宅で請負の仕事 を行う”在宅ワークに焦点をあて、その実態や課題を明らかに するための調査研究を継続的に行っている。 <調査の方法> ・・・在宅ワーキングフォーラムが行う会員対象調査に参画 民間パソコンネットワークのニフティサーブ内で活動して いる在宅ワーキングフォーラム(金井祐子代表)、以下「FWORK」 という)(注)は1994年以来毎年、会員を対象に就業実態調査 を実施している。この調査に、テレワーキング研究会として 質問項目検討から実施の段階まで全面的に参画し、協力を行う 形で行った。こうした連携した形での実施は1997年からで、 今回で3回目である。 (注)93年10月に在宅ワークに関する情報交換など会員の相互 扶助を目的に設立。 現在の会員数は約74、000人。 なお、各年の調査対象者、調査実施時期、回答者数は下記 参考1のとおりで、回答依頼、質問及び回答ともすべてが電子 メール等で行われたインターネット調査である。 参考1 各年調査の概要
| 回答依頼メール 発送者数 |
調査実施時期 | 回答者数 (うち在宅ワーカー数) |
|
| 1997年調査 | 約10,000人 | 97年1〜2月 | 858人(324人) |
| 1998年調査 | 約 2,500人 | 98年2月 | 277人(139人) |
| 1999年調査 | 約 4,500人 | 99年2月 | 364人(205人) |
<分析視点と分析対象> ・・97、98年と比較した99年の在宅ワーカーの実態 99年調査結果を中心に、雇用失業情勢が大きく悪化する なかでの在宅ワーカーの実態を前年の98年(可能な限り97年 も含む)の結果と比較しつつ、検討している。 なお、在宅ワークは下記参考2に示すとおり3つの就業スタ イルに分かれるが、そのうち主要なスタイルである専業自営と 内職アルバイト別の視点を中心に、分析を行っている。 参考2 在宅ワークの就業スタイル
| 就業スタイル | 在宅ワーク(非雇用の在宅労働) | ||
| 専業自営 | 内職アルバイト | 副 業 | |
| 働き方 | 請負、フリーの 仕事を専業自営 的に行う |
主婦や学生など が請負の仕事を 行う |
会社員勤務や他の 自営業の傍らに、 または派遣やパート 勤務等と組み合わせ て行う |
(注)「専業自営」と「内職アルバイト」の区別は、回答者本人の判断による。 <調査での在宅ワークの意味、サンプルの性格> 本調査はFWORKの会員を対象に実施したもので、FWORKでは 在宅ワークを「自宅などをオフィスとして働くこと」として いる。結果的には、調査回答者中の在宅ワーカーのほとんど (96.5%)は労働時間の半分以上を自宅で働き、また大半が 仕事に際しパソコン等を使用し、インターネット・電子メール を役立てている。 ただし、調査対象がパソコンネットワークの会員であること から、サンプルの属性等に関し偏りがある点に留意する必要が ある。