トップページ
【調査の概要】
1 在宅ワークの選択理由と
社会的認識などに関する問題点
(1)就業スタイルは半数が「専業自営」
調査対象の在宅ワーカーの就業スタイルは半数が「専業
自営」、3分の1強が「内職アルバイト」で、そのほかに
「派遣等との兼業」も1割弱みられる。性別には、男性は
9割近くが専業自営で、一方女性は専業自営と内職アルバ
イトが各々4割強となっている(図1)。
(2)専業自営はインセンティブを求めて在宅ワークを選択
在宅ワークの選択理由としては、専業自営では「柔軟・
弾力的に働ける」とともに「やった分報われ働きがい」が
ある、自分の「専門分野など仕事選べる」が多く、仕事へ
のインセンティブを求めている傾向にある。一方内職アル
バイトでは「家族の世話や家事」が大半で指摘され、育児
等との両立が目的である(図2)。
(3)専業自営は融資などで「金融機関の認知度の低さ」に苦労
専業自営の在宅ワーカーは「融資(を受けにくい、クレジ
ットカードを発行されない)など金融機関の認知度の低さ」
(注)や「税・社会保険料の負担の重さ」、「社会保険上の
位置づけが不明確」、また「地域の人の理解」の無さなど
を問題として指摘している(図3)。
新しい働き方に対する社会的認識の低さや制度上の位置
づけの曖昧さがうかがえる。
(注)専業自営の在宅ワーカーの初期投資額は平均で約120万円。
2 有配偶女性在宅ワーカーの就業スタイルの背景
(1)専業自営は生活維持のために働いている傾向
有配偶の女性在宅ワーカーの就業スタイルは内職アルバ
イトが50.5%と半数を占めるが、専業自営も37.9%と少なく
ない(そのほかに兼業・副業が11.6%)。就業スタイルの選
択は、どういう経済的目的のために働いているかと関連し
ており、専業自営では暮らしを支える「生活維持」が半数
を占める一方、内職アルバイトでは夫の収入にプラスする
「家計補助」が半数を占め、また小遣いを得るためなどの
「副収入」が続いている(図4)。
(2)働く経済的目的の背景には配偶者の収入水準
有配偶の女性在宅ワーカーが働いている経済的目的の
背景には、配偶者の収入水準の影響がある。「家計補助」
や「副収入」のために働いている場合は670万円であるが、
それらに比べて「生活維持」の場合は480万円と3割近く
少ない。逆に、自己実現や社会とのつながりなど「(経済
的目的)なし」では750万円と1割強多い(図5)。
以上の分析から、厳しい経済・雇用情勢の中で、今後
配偶者(夫)の所得減少や失業が増加すると仮定すれば、
「生活維持」など経済的に緊要度の大きい有配偶の女性
在宅ワーカーが希望者を含め増加することも予想される。
(注)年収の平均値は範囲(ex.「500〜599万円」)での
回答を中央値(同「550万円」)に置き換えて算出。
(参考)配偶者の年収水準について
平成9年労働力調査特別調査によると、子育て期に
対応する男性世帯主の平均年収(算出方法は上記の(注)
に同じ)は25〜34歳で490万円、35〜44歳で560万円と
なっている。これらに比べて女性在宅ワーカーの配偶者
の年収はやや高い水準にあるといえる。これには、在宅
ワーカーは東京中心に大都市圏に集中していること(参考
表4参照)、また学歴が高い傾向にある(参考表3参照。
したがってその配偶者の学歴も高い傾向にあるとみら
れる)こと、などが影響していると考えられる。
3 在宅ワーカーの職種
(1)在宅ワーカーは複数職種の傾向
在宅ワーカーの職種に関する第一の特徴は、複数の
職種を行っている傾向である。1職種のみの割合は全体
で53.2%にとどまり、専業自営では47.1%と半数未満で
ある(内職アルバイトでは62.0%)。この結果、平均職種
数は全体で1.9となっており、特に専業自営で2.1と多
い(内職アルバイトでは1.5)。
(2)専業自営では多様な職種に分散
複数職種の傾向を前提に、各人が行っている中で
最も専門性が高いとみられる職種の状況(「職種類型」
と呼ぶ)をみると、専業自営では「設計・製図・デザ
イン」、「ソフト関連」、「DTP・電算写植」や
「翻訳・ライター」など多様な職種に分散している。
一方、内職アルバイトでは「文章等入力・処理」が
約6割を占め集中傾向が強い(図6)。
(3)専業自営では会社員等勤務時の経験を活かした仕事
在宅ワーカーの仕事内容の会社員等勤務時との関連状
況をみると、専業自営では「ほぼ同じ」または「関連深
い」が約半数となっており、その経験が活かされている
傾向にある。一方、内職アルバイトでは「関連なし」が
過半数を占める(図7)。
4 在宅ワーカーの仕事確保
(1)継続的な仕事確保は専業自営でも4割強に満たない
在宅ワーカーの仕事の確保状況は「継続的にある」と
する者は全体で3割強に過ぎず、専業自営でも4割に
満たない。ただ専業自営では「たまに途切れる」を含め
ると8割を占める。一方内職アルバイトでは「あったり
なかったり」または「ないときが多い」が4割強と、
仕事確保の厳しさがより深刻である(図8)。
(2)仕事の継続的確保のためには多くの取引先が必要
在宅ワーカーは仕事を継続的に確保するために、多
くの取引先を確保しようとする傾向にある。仕事の確
保状況について「継続的にある」または途切れても
「たまに」と答えている場合は、平均の取引先数(最近
3カ月)は約3社となっている(図9)。
就業スタイル別には、専業自営では1社のみ(24.3%)
は少なく、平均は3.6社とかなり多くなっている。一方
内職アルバイトでは1社のみ(48.0%)が半数近くを占め
平均は1.9社と専業自営の半分程度の水準である。
(3)専業自営は「仕事仲間から」や「営業活動」で
仕事を確保
在宅ワーカーの仕事の確保ルート(複数回答)は就業
スタイルによって傾向が異なる。
専業自営では「仕事仲間の情報、紹介」や「勤め先
関係(またはそれ以外)の知人」の紹介といった非公開
の人的コネクションによる情報、また「自分で営業」
という能動的な手法が相対的に多くなっている。
他方、内職アルバイトでは「求人広告への応募」や
「FWORK(在宅ワーキングフォーラム)の募集コーナー」
といった公開情報への依存傾向が相対的に強い(図10)。
(4)「仕事の確保難」とともに「収入の不安定」や
「繁閑が極端」も問題
仕事や取引先との関係で困っていることに関しては、
すでに図8でみたように「仕事の確保」の指摘が最も
多く、それがまた「収入が安定しない」や「仕事の
繁閑が極端」といった仕事受注の波動性の問題にもつな
がっている。「繁閑が極端」の指摘は、特に専業自営で
多い(図11)。
他方で、専業自営の一部の者には仕事が集中する側面
もみられるようで、大きな仕事を引き受けるための
「仲間・人材の確保」という指摘も少なくない。
こうした状況が先に図10でみたように、専業自営
は仕事仲間の情報や紹介で仕事を獲得する傾向にある
ことの背景となっていると考えられる。
5 労働時間と健康管理
(1)週平均の労働時間は専業自営40時間、
内職アルバイト19時間
在宅ワーカーの週平均の労働時間は全体で30時間で
あるが、内職アルバイトの19時間に対し専業自営は40
時間と約2倍の水準にある。
なお専業自営のなかでも、属性により男性48時間、
子供のいない女性41時間、子供のいる女性34時間と
違いがみられる(図12)。
(注)労働時間の平均値は範囲(ex.「20〜29時間」)での
回答を中央値(同「25時間」)に置き換えて算出。
(2)専業自営では労働時間の一部は自宅外で行われる傾向
在宅ワーカーの労働時間のうち、取引先との打ち合わ
せや営業など自宅外で行う割合は「ほとんどない」が
41.7%、「1〜2割程度」が42.4%、「3割程度以上」が
15.8%となっている。内職アルバイトでは「ほとんど
ない」が70.0%と過半を占めるが、専業自営では「1〜
2割程度」が51.4%、「3割程度以上」が22.9%と一部が
自宅外の傾向が強い。
(3)専業自営に多い健康管理の難しさの指摘
健康管理面で困っていることに関しては、労働時間が
長く、また繁閑が激しい傾向にある専業自営で各項目と
も指摘が多くなっている(図13)。
専業自営では4割以上で「生活の不規則性」や「眼精
疲労、腰痛、肩凝り」が指摘され、また3割では仕事受
注が多い結果「忙しすぎる、体力的にきつい」としている。
ただ「納期間際の病気等への対処」は専業自営のみな
らず、内職アルバイトにとっても 指摘が多い問題となって
いる。
6 収入、報酬単価と能力開発
(1)平均年収は専業自営380万、内職アルバイトは75万
在宅ワーカーの年収(必要経費等含む。継続1年以上)
は平均では260万であるが、内職アルバイトの75万に対し
専業自営380万と就業スタイルによる違いが大きい。また
労働時間数による違いも大きく、基本的に労働量に比例
する傾向にある(図14)。
(注)年収の平均値は範囲(ex.「300〜399万円」)での回答
を中央値(同「350万円」)に置き換えて算出。
(2)「文章等入力・処理」で報酬単価の低下傾向大
在宅ワークを開始した時に比べた現在の報酬単価の
印象については、全体として上昇の回答が低下を上回
っているが、職種別にはライター・翻訳で両者が拮抗し、
また文章等入力・処理では低下の方が上回っており、
低下傾向がうかがえる(図15)。
(3)内職アルバイトで「知識能力の不足」や
「仕事がレベルアップできない」ことが悩み
能力開発面などに関して困っていることとしては
「単価が安い」の指摘が最も多い。
特に内職アルバイトでは半数で指摘され、図15
との関連では文章等入力・処理の仕事が多いことと
符合する。
こうしたなか「知識能力の不足」や「仕事のレベル
アップが図れない」ことの悩みが内職アルバイトで多い。
一方、専業自営では、「ハードウエアのレベルアップ」
や「仕事スペースの確保」が上位の課題となっている
(図16)。