タイトル:専業自営の在宅(SOHO)ワーカー、融資などで 金融機関の認知度の低さに苦労 〜パソコンネット会員対象の98年(第5回) 在宅ワーカー実態調査結果〜 発 表:平成10年12月17日 担 当:日本労働研究機構 勤労者生活担当(担当者 神谷隆之(tkant@jil.go.jp)) 電 話 (03)5991-5114(ダイヤルイン)
【調査分析結果の要旨】
《専業自営の在宅ワーカー、新しい働き方ゆえ
融資などで金融機関の認知度低い》
1 非雇用在宅ワーカーの半数は「専業自営」の就業スタイル
をとっており、「働きがい」など仕事へのインセンティブを
求めて在宅ワークが選択されている。
しかし、金融機関の認知度が低く融資を受けにくい、クレ
ジットカードが発行されないなど、新しい働き方に対する
社会的認識が十分でないなどの問題が指摘されている。
《有配偶女性のうち専業自営は「生活維持」
のために働いている傾向強い》
2 有配偶の女性在宅ワーカーについては、内職アルバイトと
してではなく専業自営で働いている場合は、配偶者の年収
水準とも関連して経済的必要度が高い傾向にある。
《内職アルバイトでは会社員等勤務時の
経験があまり活かされず》
3 職種内容は、専業自営では会社員等勤務時の経験を活かし
「設計・製図・デザイン」、「ソフト関連」や「DTP(パソ
コン編集)・電算写植」など多様であるが、内職アルバイト
ではそれが活かされず「文章等入力・処理」が中心となって
いる。
《専業自営は「仕事仲間の情報、紹介」などで仕事を確保》
4 専業自営は「仕事仲間の情報、紹介」や「営業活動」など
により平均3.6社の取引先を持ち、8割では概ね仕事が確保
されている。
一方、内職アルバイトの仕事確保は「求人広告」や「FWORK
の募集コーナー」などの公開情報へ依存する傾向にあり、
取引先は平均1.9社と相対的に少なく、仕事が継続的にはない
傾向の者が4割強を占める。
《専業自営は平均労働時間が長く、繁閑も
激しいため、健康管理の難しさを指摘》
5 専業自営の平均労働時間は週40時間で内職アルバイト(同
19時間)の2倍の水準にある。
また「仕事の繁閑が極端」な傾向にもあるため、「眼精
疲労、腰痛、肩凝り」、「生活の不規則さ」や「多忙さ、
体力的なきつさ」を訴える者が少なくない。
《内職アルバイトは「単価の安さ」とともに
「知識能力の不足」も自覚》
6 平均年収は労働時間との相関も大きく、専業自営では380
万円、内職アルバイトでは75万円となっている。
「単価の安さ」の指摘は内職アルバイトで多く、在宅ワー
ク開始時に比べた現在の報酬単価の印象も、内職アルバイト
に多い文章等入力・処理だけで「低下」が「上昇」を上回っ
ている。ただ「知識能力の不足」や「仕事のレベルアップ」
の必要性も意識されている。
<研究の目的>・・・在宅ワークを継続的に調査研究 パソコンの普及やコンピュータ関連業務の増加により、会社 へ出勤せずに自宅で仕事を行える労働形態が拡がりつつある。 日本労働研究機構のテレワーキング研究会は、“離れた場所で 働く”という意味のテレワーキングのうち“自宅を中心に働く” 在宅ワークに焦点をあて、その実態や課題を明らかにするため の調査研究を継続的に行っている。<調査の方法>・・・在宅ワーキングフォーラムの 5回目の調査に参画 今回の調査は、民間パソコンネットワークのニフティサーブ 内で活動している在宅ワーキングフォーラム(金井祐子代表、 以下「FWORK」という)(注)が会員を対象に毎年実施している 就業実態調査(1994年から行っており今回で5回目)に、テレ ワーキング研究会として質問項目検討から実施の段階まで全面 的に参画し、協力を行う形で行った。 (注) 93年10月に在宅ワークに関する情報交換など会員の相互 扶助を目的に設立。現在、会員数は約69,000人。 具体的には、97年12月1ヵ月間にFWORKにアクセスした会員約 2,500人を対象に、98年1月末に回答依頼の電子メールを送付し た上で、それ以外の会員も回答可能な形で98年2月に実施した。 回答依頼、質問及び回答ともすべてがコンピュータ上で行われ たパソコン通信調査であり、合計277名(何らかの形の在宅 ワーカー153名、在宅ワーク希望者123名、その他1名)から 回答が得られた。 <今回の分析対象と分析視点> ・・・「専業自営」の在宅ワーカーに重点 今回の分析は、対象を非雇用の在宅ワーカー(139サンプル) に限定し、専業自営、内職アルバイトといった就業スタイル 別に分析を行い、特に内職アルバイトと比較しつつ専業自営 の在宅ワーカーの実態や問題点、課題を明らかにすることに 重点を置いた(下表参照)。 参考 在宅ワークの形態と今回の分析対象
形態 |
雇用 |
非雇用 |
|||
| 専業自営 | 内職アルバイト | 兼業 | 副業 | ||
| 働き方 | 企業等の 雇用労働者 として 在宅勤務 する |
請負、 フリーの 仕事を 専業 自営的に 行う |
主婦や 学生 などが 請負仕事 を行う |
派遣や パート勤務等 との組み 合わせ |
会社員勤務 や他の 自営業の 傍ら |
| 今回の分析 | × | 〇(重点) | 〇(比較対象) | 〇 | 〇 |
(注)非雇用の「専業自営」と「内職アルバイト」の区別は、回答者本人の判断による。<調査での在宅ワークの意味、サンプルの性格> ・・・96年(第3回)調査と比較 本調査はFWORKの会員を対象に実施したものであり、FWORKで は在宅ワークを「自宅などをオフィスとして働くこと」として いる。結果的には、調査回答者中の在宅ワーカーの大半は労働 時間の半分以上を自宅で働き(95.4%)、また仕事に際しパソ コン等を使用(91.5%)し、インターネット・パソコン通信 (83.1%)を役立てている。 ただし、調査対象がパソコンネットワークの会員であること から、サンプルの属性等に関し偏りがある点に留意する必要が ある。 なお、分析対象サンプルの属性等に関しては、2年前の96年 (第3回)調査結果と比較しつつ、【参考】に示している ので、参照していただきたい。