日本ベンチャー学会イノベーション研究部会第6回シンポジウムレポート 3/17のシンポジウムは御陰様で盛況の内に無事終了致しました。 会場にもベンチャー企業経営者、研究者の他、映像情報メディア学会会長の杉本様、日本 能率協会コンサルティング副会長の近藤様、各大学の学部長、TLO関係者、会社役員等、 200名弱の識者、関係者に御参集頂き、かつ御満足頂けたようです。 講演順の変更、雨中での移動等、不手際の数々があり、その上、「シンポジウムではなく、 中原ワールドだ」と揶揄されながら、ほぼ半日という長時間、有意義な討議を展開する事 ができたのも一重に皆様方の御陰です。 今回、私が多くの方々に支えられて、何とか活動できているという事を改めて実感致しま した。本来司会が申すべき聴衆への御礼のみならず、一部のパネラーの方にはタイムキー パーの役までして頂き、加えて各セッションが時間通りに進行したのは、第三者からする と、まさに「奇跡」だそうです。 本当は、後、20分でも討議ができれば良かったのですが限られた時間ではあれが限度だ と思います。 企画段階では意識しておりませんでしたが、恐らく今回のようなメンバーが一同に会し て討議できるのは後にも先にもないであろうかと思い、感慨深いものがございます。あり がとうございました。重ねて御礼申し上げます。 以下に講演記録を示します。 1.問題提議:日本ベンチャー学会イノベーション研究部会 部会長 横浜市立大学教授 吉川 智教 ・日本における40社、物づくりではなく新製品開発に特化。 ・ベンチャー:連続的に新製品開発する必要。 ・固有技術を越えて、研究開発の方法論がはっきりしてきた。 ・産業革命:最初の出発点は技術。 ・第三次産業革命−IT・バイオ ・今はトリプルメジャー(3つ以上の専門)の人材 ・物つくり中心から新製品中心のイノベーションへ ・経済発展の理論:既存の物の新結合 2.基調講演:「日米大企業とベンチャーの比較」日本アリバ株式会社社長 渡辺 邦昭 2.1.これまでの経験を踏まえて。 (1)日本IBM入社 ・米国の大学院に行くつもりが急に駄目になり残っていたのが朝日新聞とIBM  ・朝日新聞はカメラマンしか残っておらず、IBMへ  ・後から受験したので勤務地指定せず、広島に赴任。メインフレーム売れなかった。  ・広島、京都、名古屋:供給過多、ツワモノしか生き残れず。特定顧客にメーカー殺到。  ・経営上の課題を手伝う事で打破。 (2)39歳でGEと伊藤忠の合弁の社長。 ・伊藤忠からせめて50歳とクレームついたがGEが押し切った。 ・1年後にジャックウェルチが売却。会社解散150人を全員解雇せよと指令された。 ・2/3希望退職応じ、残り50人に職場斡旋。外資はいやだと言いながら外資へ。 ・別のIBM-GEの合弁の社長に (3)EDS ・自分でプライシングしたくなり、サービスの事業をやろうと思い立つ。 (4)日本DEC 1500億円売上 ・人心とマーケティングがリストラ直後で荒れてる時に単身乗り込んだ。  ・Go Out & Find the JOBと言われた。コンパックとの合併控え。 (5)i2テクノロジーズ ・小さい会社のマネジメントをやりたくなり。 ・外資系情報産業研究会会長に就任  ・提言:インターネット5000円、IT機器の償却、BtoB (6)日本アリバ ・日本の経済構造を変えるような会社を 2.2.日米大企業比較                米国          日本 ガバナンス       株主資本主義      持ち合い リーダーシップ     フォローミー      コンセンサス メジャーメント     明確          ケースバイケース モーチべーション    収入と市場価値向上   何ですか? カルチャー       個と個の関係      運命共同体              I'm a cancer! I have a cancer! 日米ベンチャー比較                 米国          日本 人          高流動性        はじめは落ちこぼれ 金          ビジネスプラン     縁故(VCでも社長の個人資産担保) 世間体        アメリカンドリーム   大企業に行けなかったの? 能力         Show & Tell       集団主義 環境 高失業率が追い風    まだまだ・・・           (レイオフプランを持ってVBへ) 日本は人が集まらない。 2.3.何故今、ベンチャーか? ・日本は米国と12−3年遅れでサービス産業化 ・製造業からサービス経済への過渡期  ・SOFTな社会の実現Speak,Open,Flexible,Tansportation 2.4.ベンチャー成功条件 (1)必要条件:ビジネスモデル ・経済:サービス経済化、デフレ化 ・顧客価値:誰が何の為にいくら払ってくれるのか。何故我が社に?       ここがつまっていない。 (2)十分条件:リーダーシップ:大企業とベンチャーでは異なる。 ・理念の元に総てが集約される。 ・実行力:理念を行き渡らせる。Shape up or Ship out Strategy,Hypothetical,Alignment,Process and Execution ・個性:前向きで明るく勉強熱心 3.パネルディスカッション第一部:ITベンチャー企業の現状について 3.1.総括:イーアレー・オーグ代表 北爪 正路 ・インターネット関連で2日のセミナー等 ・イーアレー:最初は上場考えたが、やめて、横丁空間の構築を ・名刺を作る必要あったが、その代わりに出版。 あおりも足の引っ張りもなく、冷静に実態を伝えるのが目的。 インターネット未経験の人にも入りやすく。   活用事例集。失敗事例、苦労した点。 適用分野:非ITの分野の人に話す前に。どの部分の話をしているのか説明のため。 ・IT革命 産業構造:ニューエコノミーへの牽引役。 コミュニティ:NIFTYにいたので引っ張られるかもしれないが。 チャンスとピンチの同居:異業種参入、提携、ベンチャー企業の勃興。 ナンバーワンよりオンリーワン 長期的にみれば日常生活の隅々まで 3.2.金融:ジャパンネット銀行社長 宮井 芳行 ・ジャパンネット銀行:戦後初の普通銀行 資本金:200億円、異業種の結集は世界でも初。米では4年で10万口座。 飲み代の決済等、ビジネスには楽しみが必要。 クリック&モルタル:ショップとの連携が必要との説があるが。 土曜でも日曜でも365日、24時間。実際に資金が動く。 旧エコノミーの新ブランド、平均年齢33歳、社長49歳。ソニー銀行47歳。 3.3.オンラインショップ:Win-and-Win.net 込山 民子 ・中小・零細企業。 ・以前はSOHO、ホームページ制作 ・オンラインショップで成功した、てるくに電気にセミナーで会って 彼の「ホームページは自分で作るように」との言に疑問。 ・成功報酬で開始、プレスリリースすると多方面から反響。 ・「早く始めて市場を取ったものが勝ち」という状態からビジネスになってきた。 ・コンサルしている人間はベンチャーという意識はない。 ・成功条件:買う人の気持ちを今まで見ていなかった。   見られるサイト見られないサイト 体験でサポート、コンサルタントしてきたが、それでは数的限界。   ナレッジとしての落とし込み。 ・事業計画:変化が激しすぎて書けない。 3.4.コンテンツビジネス:MAGI Inc.,小俣 富則 ・毎日がベンチャー   芸大:就職どうしよう? ・NEC兼富士通社員という記事が出てどちらも失う→会社設立   昨年、会社設立5年:魔の5年、税務署が10日 ・ルネッサンス:油絵が出てから絵の具、独で工業染料(前期印象派)   専門訓練を受けていない人が出てきた。 PC:絵描きが絵の具を持って外に出たような状況    セザンヌ(後期印象派)なぜ近代絵画の父と言われたか? →各構成要素を取り出すと後の個々の画家に当てはまる。 3.5.ホスティング:クララオンライン社長 家本 賢太郎 ・顧客の意識の変化 創業当時:一日の内、30分くらいは停止しても構わない。   現在:ノンストップでなければ困る。→H/W,S/Wお膳立て ・データセンター事業:クローズドなシステム   7割国内、3割国外、主に欧州 ・セキュリティの問題等が、これから深刻に ・米と日本、若い経営者の数4桁違う、10代、日本は片手+アルファ、米は7000人   若い世代にチャレンジする人が少ないか?これから先の日本にとって。   リスクを計算しながら。 3.6.討論 北爪  日本のベンチャー:短期に上場してという話があるが地道になっていけば良いと思う。 宮井  インターネット:これから世界を変えていく可能性。  今まで、スーパーマンでなければモノを言えなかった。   日本社会、身体的に故障のある人を隔離してきた。これを突き崩す。   生活者がパワーが持てる。日本の方がインパクトが大きい。 込山  ベンチャー:バブルと対になる言葉という印象があり、避けていた。  お母さん:障害者と同じ、社会の邪魔者、インターネットはそれを外してくれる。  インターネットって、もっとワクワクして、もっとゲリラ的に。 小俣  早く熟すれば、早く腐る。  若い人に媚売りすぎ。 家本  日本では特にセキュリティが遅れている。  不正アクセス等。  インターネットに対する信頼性を左右する。  技術評価も日本で。  インド人元大統領にエンジニア随行。あなた方はまずいと言われた。  インターネットの事件、解決が難しい。100件に1件。 4.パネルディスカッション第二部:ITベンチャーを取り巻く環境 4.1.研究開発・教育:岩手県立大学学長 西澤 潤一 ・ベンチャー、あまり定義をはっきりさせる必要なし。 ・あまり大規模ではない、ソフトのみでハードはいらないのか? ・ハードが次のベンチャーを誘発。 ・トランジスタ、研究は昭和元年。GEで。 実際には始めたのは昭和11年にベル研。ケリー所長はGOサイン。 できると言う裏付けを重役会議で言わなかった。 所長のケリーの実績を背景に重役会議を通した。 失敗の連続11年、理由は蒸着でしたこと。 レーダー研究から点接触トランジスタ。     同じような研究費を投じたGE、RCAは失敗。 ・モノからソフト、展開が十分でない時に走り出す。違法行為すれすれの所。   方向はパスの中での短絡、大企業がモタモタしているうちに。   資本が無い時に 4.2.産業・エコマネー:関東経済産業局 総務企画部長 加藤 敏春 ・シリコンバレーモデル追求している中で限界を感じ、SOHO、NPO等   これは大きなパラダイムの変化だ。個人中心に。 ・マイクロビジネス協議会。   BtoBのアウトソーシング、これで大企業もかなり変わる。 ・IT革命のイノベーションは、そう続かないのではないか、後数年で終わる。 軸はイノベーション。その一環としてエコマネー。 ・エコマネー   NASDAQも長期低迷、20世紀型のイノベーションの終焉。   産業のITは進むが、あと数年で一定レベル。   BtoCのモデルが崩壊後はCtoCコミュニティto 個人   イノベーションが必要な領域で、そこにイノベーションが本当に起こるのか。   リナックスのパラダイムをリアルなコミュニティで実現する。   資金は有効期限。価値・保存機能なし。流通する事に意味。   単一価値への収斂という既存の貨幣の欠点を排除し、ゆらぎを導入。   非営利がイノベーションのコア、営利が継続。   現在100地域から希望。昨年春から一挙に進展。   コミュニティネットワーク、ICカード テクノロジーはピアtoピアで実現。 4.3.地域情報ネットワーク:国際大学GLOCOM所長、CAN FORUM会長 公文 俊平  ・第三次産業革命と第一次情報革命が同時進行。   インターネットもハードの革新により別の形に変わっていく。   知的パワーの増進する、第一次情報革命が始まっている。    どちらの革命も、出現から突破の過程で混乱しているのが現状。    情報革命の担い手は、個人(ネティズン)やNPO等新種の組織に。 ・今までのインフラは貧弱すぎる。 通信レイヤーの一番下(光ファイバーや波長)と上(コンテント)の部分は 自力で買う、作る。 マスメディアの作るコンテンツより圧倒的に多い。 中間の部分にビジネスが。データセンターのような施設などをもとに。 地方はICC(Internet Community Center)周辺に学習施設。I-cafe。 ・これまでの通信政策:私たちは何をしてきたのか。   後ろ向きの競争政策が通信企業の苦境を生む。 4.4.科学技術:理化学研究所 理事 宮林 正恭 ・ベンチャーを生むための施策、関係者の努力によりかなり整備。 ・社会的には定着。法律等の整備も欧米を参考に進展。 ・されど、期待しているほどのベンチャー活動の隆盛は生じていない。 新しい進展が必要。    第二フェーズに→日本型。 ・そのための問題提起2つ 〜政策モデルの進化が必要では   シーケンシャルからコンカレントモデルへ    大学・研究機関からベンチャーへの技術移転、研究連携 大学、研究機関:着眼→研究活動知的所有権の創出→権利化→研究の深化 ベンチャー:企業化調査→実用化研究活動→市場開発→製造・販売 を同時並行で。 そのためには大学や研究機関が直接的にベンチャー活動にかかわる必要があるのでは? 〜政策対象の拡大が必要では   アクティブなベンチャーマインドの者から一般の研究者へ   一般研究者がベンチャーマインドを持つような環境に整備    理化学研究所のベンチャー:1800人中10件 ・一般研究者の側から見たベンチャー創業のバリア   科学コミュニティの中での評価は論文中心   学会誌の無償開示要求と先願主義特許制度   科学者仲間からの無償開示要求   時間的負担と精神的負担(変動の大きい外部条件)   リスクとメリットの程度が不明    複雑な支援制度体系 ・第二フェーズの政策アプローチへの要望事項   TLOの技術実用化オフィスへの質的変化   特許の代筆、申請代行   コンカレントに知的所有権、潜在的事業化可能性を発掘してくれるシステム 研究機関のベンチャーへの出資 先発明主義的考え方の導入 研究所マネージメントサイドの熱意 ベンチャー支援システムの単純化 4.5.ベンチャーキャピタル:IAI-J(国際エンジェル連盟日本支部)理事長 八幡 恵介 ・NECに27年間 ・米のベンチャー企業が、何故栄えているのか?   LSIロジックに10年間、そこでベンチャービジネスに執り付かれた。   個人としてのベンチャー支援。 ・エンジェルは日本では育ちにくい。 会社に最後までいる。年金は自分のもの。 ・エンジェルの社会的な役割   社会的な敗者は救わなければならないが、 ビジネス上の敗者を社会的な敗者にしないためのエンジェル。 米でも同じ失敗を繰り返す人にはペナルティー。 ・日米比較 小規模なVCが成長して大規模に。 日本のような大規模VCしかない場合は満遍なくか安全なところがターゲット。 日本:技術に基いたベンチャーが育たない。   技術が良いほど思い入れが強く、他の介入を許さない。 ・良いベンチャーを育てる唯一の方法は個を育てること。 投資の際は人に着目。きちんと議論ができ、チームで仕事ができること。 5.全体討論 住友電工 元専務 油本  ベンチャーキャピタルの評価能力、シリコンバレーではネットワーク  イスラエルの場合、半額補助、評価能力有るためか帳尻あっている。   VCの評価能力   評価能力が公的機関にあるのか? 八幡  金融業界がVC、事業経験無し。安全になったところでの投資か広く浅く。  リスクを計測と回避  大企業の人材を顧問にして技術評価。しかし、自分でリスク負った経験なし。  最近は日本でも評価ができるVCが出てきた。  この先、まだお上頼みなのか? 加藤  ITプロパーについては評価能力ある部分出てきた。  バイオ・ゲノム評価できるVCいない。  IT、今のままでは数年後サチュエートする。バイオ・ゲノムの目利きいない。  評価能力をVCだけに頼るのも問題、評価の重層化が必要、株式市場等。  プロのネットワークも必要。  国による研究開発なのか、   個人の見解として、国の評価システムを作らないで費用増額は問題という危機感。   あわせてベンチャーも含めて考える必要。 多摩大学教授 篠田 大三郎  国際基盤材料研究所での経験:直接投資が日本では根付いていない。 米ではVCがリスク負担。   ステージ毎に異なる経営陣を送り込む。  国からの評価   技術とマネジメントを別々に評価。これは間違い。   ソフトは1億円の枠で出す。それは無駄なお金を与えるようなもの。 関東経済産業局 久野 美和子  都道府県センター、ナショナルセンター:評価システムも問題に   審査できる人を配置するというスキームを作ったが、対象となるベンチャーそのもの がいない。  IT:ベンチャーの社長を面接していったが、それで決めたところで倒産1件もなし。  SBIR:経営者のスタンスは見ている。 小俣  ベンチャーがいない?は本当か。  零細企業はいても、ベンチャーはいないという事か?  実際ベンチャー支援を受けているが、言葉はあってもフォーメーションがなっていない。  零細とベンチャーと分けなければ皆手をあげる。 吉川  ハイテクなイノベーターが定義、そこで研究開発型ベンチャーと名を付けている。  連続的なイノベーションが必要。  イノベーションは2点、技術は先生が知っていても、マーケットを知っているのは企業。 込山  ベンチャー:最後にがっぽり儲けて終わりというイメージがついて回る。  事業計画:できないから相談に行くのに求められる。 久野  地元で足で稼いで出て行く方向で議論。 ジーテック社長 桜井  途中段階で関東通産局に足を運んだ。  全く国は役立たない。 西澤  研究費を出してくれた社長。 在任中にはリターンは無いかもしれないが、後に続く人のために出すと言われた。  先行者利益、日本では認めてくれない。  文部省:50年で1千万円も貰っていない。  新分野:業績を認めて任せるしかない。事後評価が必要。  大事な事は配分:偉い先生が20人集まっても駄目。合議制反対。 目利き一人の方が良い。  ベンチャーも目利きが必要。早さが必要。 宮林  国は懸命に研究開発費を増やしている。 これは投資だが、そう受け止めている研究者がどれだけいるか。 基礎研究:好き勝手やっても良いと思い込む。パトロン論になってしまう。 マネージする側はイノベーションストラテジィが必要 NEC 後藤 富雄  新入社員:やりたい事がわからない。  昔、無いものを作る喜びがあった。  今、たいていのものがある。その中で社内ベンチャー盛んにするにはどうするか。 北爪  ネットコミュニティがビジネスの種に。 宮井  官がどう、民がどうという事ではなく、自分達でできる事を。  21世紀は民間が自分達でポートフォリオを組み立ててやっていく必要。  政府の保護下は壊滅する。 公文  文化等、決心したからと言って変えられるものではない。  追い出したつもりでも裏口から回り込んでくる。  上をそっくり取り替えることかなぁ・・・ 吉川  新事業できなかったら米は取締役、全員クビ。  意思決定ができない人が責任を 以上、活発な討論が展開されました。