1999年4月17日

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かながわ オープン・カレッジ
公開経営実践研究会(MCAセミナー)

 
経営管理大学「情報通信技術演習」

中原 新太郎

Email nakahara@s-nakahara.com
http://www.s-nakahara.com

目次
1.はじめに
2.インタ-ネットは使えるか?
3.インタ-ネットが拓く新しい社会とライフスタイル
3.1.地域情報化(CAN)
3.2.テレワーク
4.企業が抱える情報化の課題
5.まとめ
 
1.はじめに
1.1.最近のITのキーワード
Y2Kとは?
ECとは?
ERPとは?
SCMとは?
Linuxとは?
 
1.2.様々な情報通信機器
・携帯電話、PHS
・FAX
・ワープロ
・パソコン
・PDA
・その他
目的、相手によって使い分けるのがコツ
 
 
 
1.3.Y2K:西暦2000年問題
(西暦2000年に予想されるコンピュータの誤動作)
1.3.1. 原因
記憶装置の節約のために、年号を下2桁で表現
 
1.3.2. 予想される現象(一次的なもの)
・年号を1900年と誤認
・2000年をうるう年と識別せず、日付がずれる
・「100」「00」等、表示の誤動作
 
1.3.3. 予想される現象(二次的なもの)
・2000年以降の予約ができない
・クレジットカードの有効期限
・複利計算等、日付に依存する計算のミス
・ネットワークの障害
・組み込みマイコンの誤動作
・保険がかけられない
(契約の対象外とする保険会社続出)
 
1.4.Electronic ommerce:電子商取引1)2)
1.4.1. Cyber-marketplace
(B to C:消費者向け、B to B:企業向け、電子マネー、CM等)
(1)インターネットでよく売れるもの
 ・実物を手にしなくても商品特性理解可能
    本、CD、コンサート等のチケット、
   旅行ツアー、投資信託等の金融商品等
  ・町の商店では買えない。地方特産品等
  ・届けなければいけないもの。ギフト商品等
(2)インターネットで売れないもの
   ・実物を手にしないとわからない洋服等
   ・値引きができないもの。EC:値引きは当然。
   ・送料負担が大きいもの。
(3)商品分類:商品を分類したカタログ
   例:日比谷花壇:購入目的別・予算別
(4)Pricing
   ・Best Price
他に安い商品を見つけたらその差額の
   35%増を支払う(Lowest Price Gurantee)
・Auction−オリックスOricoMall(中古PC)
(5)Mass Customization:あなただけのサ-ビス
例:Interknit:写真送付で柄入りセーター
     Amazon.com:嗜好で入力で本を推薦
(6)ショッピングモール
  店舗業務代行→顧客顧客代行業務
   ・商品の比較、同一商品の店舗間比較
   ・店舗・商品の格付け
(7)課題
   ・ビジネスルール未確立
   ・セキュリティー
  ・インフラ整備
   ・個人情報保護
   ・法制度の整備
   ・女性ユーザーの取込
  ・商品開発
   ・デリバリー
・販売ノウハウ整備
 
(8)最近の話題
・最も成功したサービス:デジキューブ
・渋谷で電子マネーの実験開始
・携帯電話のiモードサービスを用いた
銀行振込、旅行予約サービス等開始
 
1.4.2. Cyber-workplace
通信・放送、collaboration、CALS
(Internetプロバイダー、CSデジタル等)
 
1.4.3. Cyber-livingplace
医療・教育、行政、エンタテイメント
ドリキャスの目玉:対戦ゲーム
 
1.5.Enterprise Resource Planning:企業基幹業務パッケージ
1.5.1. 定義(APICS:米国生産在庫管理協会による)
「受注から生産、出荷、勘定まで関わる企業の総資産
を管理し、活動計画を立案する会計指向のシステム」
 
1.5.2. 問題点
・企業基幹業務を総て包括する機能はない
・周辺業務を含む企業全体のシステムには程遠い
・周辺業務の再構築をも伴う
・顧客企業の現システムの理解が前提
・ERPで新たな顧客が生まれるわけではない
 
1.6.Supply hain anagement
1.6.1. 定義
「購買から在庫、生産、物流、販売にいたる一連の
情報とプロセスに関する統合、計画、管理」
 
1.6.2. 目標
・顧客満足
・リードタイム短縮
・在庫削減、キャッシュフロー改善
・全体最適
・変化への対応
 
1.7.Linux
・無償で提供されるOS(基本ソフト)
・全世界の技術者が無料奉仕で逐次改良
・新たなビジネスモデルとして注目される
 
2.インターネットは使えるか?
2.1.情報収集
・検索エンジンを活用:yahoo、infoseek、excite
・総ての情報がネット上にあるわけではない
・ネット上の情報は玉石混交
・用途によってはパソコン通信の会議室も有効
・人に優る情報源なし
 
2.2.電子メール
・仕事用のファイルを添付して、やり取りできる
・マナーには充分注意->ネチケット
・最近の学生は就職活動に使用
 
 
2.3.ホームページの開設
・情報は発信する人間に集まる
・見てもらうためには検索エンジンに登録
・作成はワープロソフトで充分
 
2.4.インターネット普及の現状(内外格差)
・インターネットのホストコンピュータの数(1999年1月)1)
世界:4323万台(1年で650万台増)
日本: 169万台(1年で 51万台増)
 
 
 

 
日本でインターネットの普及率が低い原因
(1)通信回線が高価格
(2)プラットフォームであるパソコンの普及率が低い。
(3)CATV等電話以外の通信手段の普及率が低い。
(4)通信・コンピュータ技術者不足
(5)日本発の魅力的なコンテンツの不足(殆ど英語)
それでも普及率は11%を突破
用途:ビジネス情報入手、連絡・コミュニケーション、趣味情報入手
 
2.5.ネットワーク革命の10年
理論則:拡張メトカーフの法則
・PCのパワーはチップ集積度の2乗に比例
・ネットワークパワーはノード数の2乗に比例
経験則:拡張ムーアの法則
・チップの集積度は18ヶ月で倍増
・ネットワークの規模は年々倍増
結論は?(3年間で1024倍)
 
情報通信の世界はドッグイヤー3)
(犬の1才が人間の7才に相当することから通常の
世界の7年分の変化が1年間で起こる事を指す)
今は第三の波(智業化→情報革命)
 
第二の波 第三の波
商業化 智業化
産業革命 情報革命
テクノ サイバースペース
経済的エンパワメント 知的エンパワメント
 
2.6.1999年の展望
(1)キーワードは接続端末の多様化:ゲーム機、携帯電話等
(2)定額制、低料金
(3)一時使用、大容量回線としての衛星回線
(データ、映像、プログラム一斉配信)
(4)高機能化:パフォ-マンス・セキュリティ保証(OBN)
(5)プロバイダーの国際展開と淘汰
(6)Y2K関連ビジネスの急増
(ソフトハウス以外にコンサルタント、リスクマネジメント、人材斡旋も)
 
3.インターネットが拓く新しい社会とライフスタイル
3.1.地域情報化(CAN)4)
3.1.1. 揺らぐ地域経済の基盤
(1)現状:日本の地域経済が急速に落ち込む、
特に中小企業や個人企業が顕著
(2)要因
@国際競争に直面した大企業が従来の系列を整理
Aコンビニの進出、駅前商店街等衰退
B担い手である経営者高齢化と後継者・人材不足
 
3.1.2対処法(ローカルなネットワーク)
(1)グローバルなビジネスを視野に入れたベンチャー企業の
発生と産業構造転換が理想だが、現実には確率小。
(2)「コア・コンピタンス」はローカルコミュニティーのニーズに注目すべき
(3)主体的に従来の関係を見直し、その落ち込みを
補い逆転させるため、熟知した地元の地域に
おけるニーズを発見し掘り起こす努力をする必要。
(住宅、環境、医療、教育、レジャー等は地域特性強)
(4)情報通信技術がグローバルなネットワーク志向を強める程、
コンテンツは地域やコミュニティの特性を反映させたものが
独自の価値を持つ
 
地域特性を最新のITに照合、ビジネスに適した形に
 
3.1.3地域情報化の先進例(「周辺地域」と思われる地方に集中)
(1)情報後進県が県主導で推進(大分、岡山等)
(2)地方圏で例外的に民間主導で進展(諏訪、浜松等)
(3)伝統的な農村コミュニティを基に推進(伊那、山田村等)
 
・経済の構造を改革するための新しいビジネスで
ある住宅、環境、医療、教育分野は高度情報化を
活かして次の時代を先取りしなければビジネス
シーズになりえない
 
・地域発展の阻害要因となっている各地域の組織の
硬直性や制度の疲労を打破するには社会の基礎と
なる個人が、身の回りのコミュニティのレベルで
交流し合うことが近道
 
・特に高度情報化によって地域の産官学とボラン
ティア組織がお互いに常につながりあうことが
時代の要請となっている。
 
・情報社会では、情報通信が最も重要な社会生活基盤
 
・最も多くの情報は、各コミュニティの内部で
生み出され融通、共有される
 
3.2.テレワーク
3.2.1. 企業から見て
(1)社員のテレワーカー化
(2)業務の発注・提携先->アウトソーシング等
(3)市場->パソコン、情報通信機器、オフィス用品
 
形態からの分類
(1)サテライトオフィス
(2)在宅勤務
(3)モバイルワーク(モバイラー)
 
3.2.2. 日本における変遷
80年代中 テレコミューティング:
(吉祥寺、志木、阿蘇)
90年前後 分散型オフィス(第一次ブ-ム):(大宮、八ヶ岳、KSP)
バブル経済崩壊と同時にブーム下火に
90年代中 テレワーク:(郵政省テレワーク構想、大企業在宅勤務)
96年にモバイルオフィス、SOHOが話題に
近未来:ウェアブルコンピュータ装着モバイラー?
 
第一次ブームとの比較
情報システム部門主導、トップダウン->各部門毎
在宅・モバイルワーク増大
情報通信網・機器の性能向上・低価格化
推進理由(地に足がついてきた)
@通勤対策 生産性向上
Aオフィスコスト削減 -> オフィスコスト削減
B採用 通勤対策
しかし、企業の考える阻害要因は変わらず
@適した職種無、管理困難、評価困難
A企業内反対派層変化無(部長以上)
 
3.2.3. 拡大の背景
(1)ホワイトカラー生産性向上の要求
@通勤時間の短縮
(単なるコスト削減ではない。 疲労はボディーブローのように効く。)
A創造性の向上
B権限委譲促進、業務改革(副次効果)
C業務のリードタイム短縮
D顧客満足の向上<-クイックレスポンス
(2)ワーク・ライフスタイルの多様性の追求
(3)アウトソーシング・脱系列の拡大
(4)情報通信ネットワークの進化と低価格化
(特に携帯:何時でも何処でも誰とでも)
(5)パソコン普及(特殊技能ではない)
 
3.2.4. 社員のテレワーカー化
(1)常駐化(人事異動)から非常駐化へ
(2)就労困難者雇用(身障者・介護・育児)
(3)育児休暇中のキャリア・情報中断防止
(4)退職者の地域社会へのソフトランディング
(5)意識しない進行:営業の情報武装・モバイラー化
背景は
(1)組織のフラット化
(2)経営にスピードを要求(本社との往復不要)
(3)通信コスト低下・パソコンの普及
(4)人材に同質性よりも創造性を求める
(1個所にまとめて作業させる必要無し)
 
阻害要因・課題
(1)日本型人事評価(成果よりプロセス)
(2)社会通念(在宅に対する無理解、東京中心)
(3)労働組合(労働強化懸念、最近は対応変化)
 
3.2.5. 拡大の可能性(社会情勢・環境)
(1)ISDN、Internet等通信インフラの整備
(2)情報機器の性能向上と低価格化
(3)企業組織のフラット化、アウトソーシングの拡大
(4)国・地方自治体等のベンチャー振興策等
が実現されつつあり、可能性拡大の方向。
 
4.企業が抱える情報化の課題(主に商業)
(1)一物多価の崩壊
一部地域の安売りが全国規模で影響を及ぼし、
商圏内の価格競争という従来の図式が崩壊
従来以上に価格以外の訴求点や差別化しないと
地域一番店と言えども生き残りは困難に
(自動車販売でも一部販社がホームページに掲載した価格表を持って、
地元ディーラーを訪れる顧客が出現した。同じ地域のライバル店の
チラシを見て値決めをするという従来の方式は無力化しつつある)
 
(2)メーカー直販、ダイレクトマーケティングの普及
(販売店を介さず、メーカーと消費者が直結)
@パソコン等で見られるオーダーメード型では
在庫(流通在庫も含め)を持たずに済む
A顧客からの情報は電子的に処理されるので、
簡易に顧客データベースが構築可能
B顧客データベースを他の情報、例えばカーナビ
の情報と組み合わせて容易に加工、利用、
戦略立案が可能である。
C販売店というフィルターを通した情報ではなく、
マーケットからの一次情報が入手できるので、
情報の信頼性が高い。
D流通在庫が発生しないため、需要に合わせた
供給、製造・販売戦略の変更が瞬時に可能
E顧客はオーダーメードにより、自分の仕様に
あった商品・サービスを発注、同レベルの質で
あっても満足度が高い。リピーター比率も向上
 
・問屋や販売店は顧客情報の伝達を遅延させる
ディレイ、販売管理費の増大要因でしかない。
・販売店を維持のための無理な品揃えも不要
・直販や無店舗販売は業種の壁を越えて増えている。
・ホームページも従来の「動く画面」型から、
マーケティングを意識したものに切り替え
(予約システムや占い等を併用し、顧客に自分のデータを入れさせるもの)
 
(3)営業、販売店、問屋の淘汰
@顧客が自分で商品、サービスを設計する
A予め用意されたお仕着せの対面販売は敬遠
B情実販売は通用しなくなる
C顧客の保有しない専門知識、共感が重要に
D顧客の商品・サービスの設計を支援機能必要
ESCM等のシステムに対応できない問屋も淘汰
 
(4)物流の統合、アウトソーシング化(系列外再編も)
(5)電子商取引の拡大
@容易に他国のサービスを享受
A携帯電話やゲーム機が新たなインフラに
 
(6)ネットワーク事故・犯罪の多発
@ネットワークの重要性増大
Aネットワークのダウンやデータ盗難、改ざんに
対応した組織やシステムを構築する必要
B情報を簡単に持ち出せるので社員教育必要性増
Cリスク負担も含めたアウトソーシングが進展
Dコンピュータウィルス対策も重要に
 
5.まとめ
@情報機器は相手や用途にあわせて選択
AY2Kは待ったなし
Bインターネットは今後社会に浸透
地域経済活性化、ベンチャーやテレワーク等、
ライフスタイル変革や雇用の創出、少子化、
環境対策の鍵としても期待
C普及の遅れと従来社会との整合が大きな課題
D企業としては、社会の変化に対応してビジネスを
変えていく必要
 
 
参考文献
1)(株)情報通信総合研究所レポート他
2)戸田 巌:武蔵大学マルチメディアシステム研究会講演他
3)公文 俊平:電子情報通信学会講演他
4)宮尾 尊弘,中原新太郎”CAN構築による地域ビジネスの再活性化”,電子情報通信学会
ネットワ−ク社会とライフスタイルワークショップ,1998年3月
5)在宅ワーク研究会「家で働く」-在宅ワークの現状と課題-,1996年5月