武蔵大学総合研究所マルチメディア・システム研究会 新春交歓会(第21回研究会)報告 (99年1月29日)

『インターネットビジネスの展望』
〜インターネットショッピングとインターネット広告の現状と展望〜

情報処理学会会長/株式会社富士通研究所フェロー
 戸 田 巌 氏



目   次





 インターネットビジネスは、以下のカテゴリーに分けられるが本講演では、Cyber-marketplaceの、EC(Electronic Commerce =EC)とインターネット広告についてお話しする。
  1. Cyber-marketplace 消費者向け、企業向け、電子マネー、広告
  2. Cyber-workplace 通信・放送、collaboration、CALS
  3. Cyber-livingplace 医療・教育、行政、エンタテイメント EC(Electronic Commerce)について
■インターネットでよく売れるもの
  1. 実物を手にしなくても商品特性が理解できるもの。本、CD、コンサート等のチケット、旅行ツアー、投資信託等の金融商品等
  2. 町の商店では買えないもの。特定の場所でしか買えないもの。地方特産品等
  3. 届けなければいけないもの。花のギフト商品等
■インターネットで売れないもの
  1. 実物を手にしないとわからないもの。 洋服等
  2. 値引きができないもの。ECでは値引きは当然。
  3. 送料負担が大きいもの。ECでは送料を取るのが普通であるため、商品に対して送料が割安だと、購入意欲が増大する。例えば、2000円のお菓子で送料500円では売れないが、2000円のお菓子を2個1パッケージにして送料500円ならよく売れるというような工夫が必要。
■商品分類

 商品を分類したカタログをみせる必要がある。例えば、日比谷花壇の場合、購入目的別・予算別に商品を検索することができ、客が商品を購入する動機に合った分類がされている。

■Pricing  
  1. .Best Price−米国のNetmarketではインターネットで他に安い商品を見つけたらその差額の35%増しを支払うというLowest Price Guranteeという制度を採用している。
  2. Auction−オリックスのOricoMallでは、中古パソコンをオークションで売っている。単に定価で買うのではなく、入札する楽しみを客に与えている。
■Mass Customization  

 工業化社会は同じものをたくさん作って安くするというのが基本(Mass Production)だったが、情報化社会では客に対してあなただけのサービスとして提供するMass Customizationが基本。例えば、Interknitでは写真を送れば、写真の柄入りセーターを編んでくれる。また、米国のインターネット書店で有名なAmazon.comでは自分の嗜好を入力すると、趣味にあった本を推薦する。

■ショッピングモール

 当初、ショッピングモールの役割は、店舗の業務代行であった。インターネット上に店を作ったり、売上管理を行ったり、店舗を集めてスケールメリットをだそうとしていた。最近では、顧客代行業務を行うようになった。商品の比較や同一商品の店舗間での比較を行うようになってきた。また、第三者的な機能を持つようにもなった。いわゆる格付けでお店や商品を格付けしている。

■EC成功の秘訣
  1. ECに適した商品を選ぶ
  2. 情報を頻繁に更新する
  3. ホームページのダウンロード時間を短くする
  4. 商品分類をきめ細かくしたカタログをつくる
  5. Pricing
  6. 配送迅速化、明確化(いつ出荷したか等)
  7. 決済手段の複数化
■信用ある店舗づくり  

 ECで安全に買い物が出来るという安心感を与える。
  1. 顧客の個人情報保護
  2. 問題発生時の消費者保護
■ECの課題  

 ECビジネスのやり方がまだ確立されていない。ビジネスの倫理、セキュリティー、インフラ整備、個人情報保護、法制度の整備、女性ユーザーの取込などの種々の課題がある。ECでの販売ノウハウを整備していくことが大切。 インターネット広告について

■インターネット広告の種類
  1. バーナー広告 分類ページにその分類にあった広告を付ける。検索のキーワードでバーナー広告を切り替える。例えばビールを検索するとビール会社のバーナー広告が表示される。
  2. プッシュ広告 スクリーンセイバーに広告を表示する。ポイントキャスト等のソフトを利用する。
  3. 電子メールマガジン 一種のプッシュ広告で先方からメールを送りつける。
  4. バーナー交換 自分のバーナー広告と他人のバーナー広告を交換する。交換を仲介する人もでてきている。
■インターネット広告に求められるもの
  1. Experiential Marketing    ユーザーが自分で参加する
  2. Something Practical    実用的な情報を提供する
■広告内容  

 当初はコンピュータ関係が多かった。Yahooの統計では、95年でコンピュータ以外が15%、97年で80%がコンピュータ以外の広告になってきている。インターネット広告に広告効果があると認知されはじめた。

■インターネット広告の評価方法
  1. 何回見られているか
  2. 見る人のターゲットを絞れるか
  3. 表現能力の豊富さはどうか
  4. 何回クリックしているか
  5. 1回いくらかかるか
  6. ビジネスとしてどうか
  7. 広告を見て買うことが出来るか
  8. 消費者の声を収集できるか
■まとめ

  1. インターネットビジネスは一人勝ちで勝者は少ない
  2. 現行ビジネスの構造転換が必要。例えば、メーカーがディーラーに気兼ねなくEC市場で直販できるような体制づくり。
  3. 新しい知恵を出す。濡れ手に泡というわけには行かない。

(文責:事務局)



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