1999年1月17日 神奈川県経営管理センター経営管理大学 人的資源管理講座 「経営戦略対応の人材開発」資料 (指定されたテキスト:梶原 豊「人材開発の経営学」同友館を要約、加筆) 1.人材開発制度見直しと再編成の背景 (1)産業構造転換への転機 ・グローバル化 ・デフレの進行 (2)加速化する経営環境の変化と企業の対応 ・環境要因そのものも急速に変化    ISO14000(環境)、国際会計基準、IT(情報技術)等々 ・自前主義から協業へ ・多角化から経営資源の集中へ ・強者の一人勝   ・R&Dをめぐるパラダイムも変化 (児玉 文雄:"ハイテク時代のパラダイム"pp13,中央公論社,1991.6月)   製造業    →創造業   単一技術・製品→多角的基盤技術・システム   同業者と競争 →見えざる敵の出現   線形思考   →技術の需要表現(まず用途)   技術突破   →技術融合   技術革新   →制度革新   費用分担   →オプション分担方式  ⇒自社の経営理念・方針、コンセプト、ポジションの明確化が重要に 2.リストラクチャリングと求められる人材 (1)リストラクチャリングと求められる人材 ・経営構造転換への動き:事業構造のみの転換から経営構造全般の転換へ    社名変更、成熟部分の分社化・出向、新規事業の中途採用 ・企業サバイバルの条件:戦略の的確性、商品の今日性、生産性+人的側面の充実 (2)グローバライゼーションと求められる人材 ・マーケットの国際化:投資先に溶け込む、社会との協調・融和 ⇒異文化の理解能力、社会規範の遵守、円滑な人間関係の構築 (3)情報化・技術革新と求められる人材 ・経営システムの転換等多大な影響、競争力・差別化の源泉   (花王、ヤマト運輸、セブンイレブン、ミスミ、ボーイング等) ・ネットワーク革命の10年 理論則:拡張メトカーフの法則:PCのパワーはチップ集積度の2乗に比例 ネットワークパワーはノード数の2乗に比例 経験則:拡張ムーアの法則 :チップの集積度は18ヶ月で倍増 ネットワークの規模は年々倍増 結論は?(3年間で1024倍) ・今は第三の波(智業化→情報革命) 第二の波 第三の波 商業化 智業化 産業革命 情報革命 テクノスペース サイバースペース 経済的エンパワメント 知的エンパワメント ・創業経費節減手段としての情報化 営業所を廃し、全員をモバイルワーカー化(エーザイ ジェネリック) 留守番電話を活用した簡易テレメトリー 営業、アトリエ、自宅をネットワーク化 ・キーは最新技術の導入ではなく、オールドメディア低価格化という副次効果の活用 ⇒ソフト化に対応した人員の育成 (4)高齢化と中高年齢者に求められる人材 ・シルバーマーケットへの対応 ・社内の労務構成の高齢化への対応 ⇒年功賃金から能力主義へ、受け皿としての別会社(横河やニコンの工房) 中小企業の後継者や職人の減少への対応:行政のバックアップも必要 (5)起業創造時代に求められる人材 ・ 新分野をマネジメントできる人材 ビジネスマインド、知識、情報、リーダーシップ+社内外のネットワーク 3.人材開発制度の見直しと再編成の視点   本論にはいる前に    育てられる人材と育てられない人材   (有能な人間は勝手に育つ、むしろ障害排除が人事の役目か?)    すべての人材を社内で育成・雇用すべきか?環境変化のスピードに育成・雇用が追いつけるのか?   (異能な人間は入社試験で排除している、プロジェクト毎に外部資源の活用を) 全社一律の制度で良いのか? (技術人材開発センター、営業研究所の設置等) 人材開発と人事評価はセットではないのか? OJTからOJDへ 教育は機能別か事業分野別か?マトリクス組織のメリットと弊害 (1)人材開発制度見直しの視点 ・情報化と国際化 ・差別化戦略展開と経営戦略達成能力を有する、時代認識が的確なテクノクラート育成 ⇒多様な能力開発の機会を (2)人材開発制度再編成のポイント ・現行制度および運営上の問題点の洗出し:人材育成制度、自己申告、カウンセリング ⇒人事だけでなくプロジェクトもしくは委員会で各部門の意見を活用 ・ 問題点の分類 必要だが未導入、経営方針・戦略とのずれ、産業界・社会動向との未整合、要改善 ⇒組織動態度調査の活用、改善・改革ニーズの把握 ・ 経営方針・経営理念・経営戦略の再確認:基本コンセプトとの整合 ・制度の目標・目的と制度との一体化:タテマエと本音の使い分けが不要な制度を ・ 制度運営上のマニュアルの整備:目標・目的どおりの運営を、ライン管理者の知識・技能の充実と共に ・ 制度および運営方法の職場への周知徹底:モラルに深く関係 4.集合教育の課題と展望 (1)能力開発と教育訓練 ・教育訓練活動の原点と教育訓練 人材格差が企業の経営格差を生む最大要因 環境変化の速さが人材の陳腐化促進(変化への対応能力) ⇒能力開発活動(変化に対応しうる能力の維持・開発、陳腐化した能力への刺激と活性化) [しかし、過去の成功体験を捨てられるか] ・ 経営環境変化と教育訓練ニーズに対する認識:環境変化に対応可能な人材の育成 ⇒経営活動に関わるニーズ対応教育訓練プログラム、インストラクターの選抜、技法・教材・会場の選択 (2)OJTとOFF・JT ・ OJTの問題点:職務遂行能力が疑問視される管理職[←能力より年功・論功行賞としてのポスト] [昇進の複線化で管理職と職階を分離すべき] (3)階層別教育の現状と課題 ・ 階層別教育の現状 新入社員に対する導入教育 社内スタッフが担当、講義形式・見学・実習・ロールプレイイング・オリエンテーリング等 教育の目標:意欲の向上、モラール高揚、基本動作ができる従業員の育成 管理者に対する教育:能力開発最重点階層 講師は専門団体・大学・研究所等の専門家 社内での集合教育、社外セミナー・講習会・研修会への派遣 +自己啓発支援、出向・派遣等のローテーション 教育の目標:リーダーシップ、能力解決力の向上、業務等に関する視野の拡大、技術・技能の向上 ・階層別教育の課題 受講者の意欲・時間・訓練の体系化の不足+ニーズとメソッドのミスマッチ (4)階層別教育のこれからのあり方 ・自己啓発とOJT、OFF・JTのカバーすべき領域の組み合わせ ・自己啓発:通信教育やメディアを活用し、基本的な知識吸収 ・集合教育:知識を知恵に発展させていく手段、知識・情報の体系化 ・中高年を対象としたキャリア充実、生涯生活設計教育・ライフスタイルを加味した教育 5.キャリア開発と生涯生活設計教育 (1)ニーズの高まるキャリア開発 ・エキスパート不足←企業内ローテーションの不備、職務体験機会の不足 ・マネジメントができる人材不足←長期的観点に立脚したローテーションの不備、教育訓練上の問題点 ・中高年の定年退職後の再就職の不安 ⇒キャリア充実とキャリア拡大 (2)キャリア開発の方法 ・自己啓発・資格取得援助型+職務体験型+ライフデザイン・プラン型 ・個人が社内においてサバイバルを可能にするための能力開発援助と定年後の再就職支援 ・仕事と仕事以外の領域のバランス:ライフデザイン・プラン型 (3)ライフデザイン型教育のタイプ ・退職準備型アプローチ:生活設計を各自が作成 ・生活設計教育型アプローチ:退職後のキャリア開発、経済設計を各自が作成 ・自己啓発促進教育型アプローチ:能力等の期待水準とのギャップ解消のための計画を各自が作成 ・生涯生活設計教育型アプローチ:職業生活と日常生活全般の見直しと点検 6.能力開発と人材管理 (1)能力開発と人事情報システム ・雇用管理、教育訓練管理、人事考課管理、賃金管理、安全衛生管理、福利厚生管理、人間関係管理等 [どの層、本人にどこまで開示するかが目標管理制度、年棒制導入に伴い議論の対象になっている] [基礎となるデータは誰が作るのか?] (2)能力開発とCDP(経歴管理制度) ・雇用管理、教育訓練管理、人事考課管理に関わる施策がコア (3)能力認定と制度 ・技能検定制度 ・ビジネスキャリア制度