1997年9月6日 三菱電機株式会社 NTT事業部 計画部 中原 新太郎 横浜市立大学リカレント講座「ベンチャー最前線」−企業における研究開発− 1.研究と開発 1) 1.1.従来の研究開発 :基礎研究→応用研究→製品開発 1) 1.2.現代の研究開発 :事業戦略→新製品の探索評価・選別→研究開発 そして企画→販売の各段階で研究開発が関与 ┌────────────────────────────────┐ │ 研 究 開 発 │ └────────────────────────────────┘ ↑ ↓↑ ↓↑ ↓↑ ↓↑ ┌────────────────────────────────┐ │市場発掘→発明・解析設計→詳細設計・試験→再設計・生産→流通販売│ │ │ │ │ │ └──────────────────────────┘ │ └────────────────────────────────┘ 1) チェーンリンクドモデル ↓ 組織が小さいほど機能 2.ビジネスにおける研究開発の位置付け 2.1.背景 2)  R&Dをめぐるパラダイムが変化しているのでR&Dの役割も見直す必要がある。 製造業    →創造業 単一技術・製品→多角的基盤技術・システム 同業者と競争 →見えざる敵の出現 線形思考   →技術の需要表現(まず用途) 技術突破   →技術融合 技術革新   →制度革新 費用分担   →オプション分担方式 2.2.研究開発の目的 @新製品開発 A既存製品の改良 B生産プロセスの改良 C知的財産権の確保・蓄積 3) 2.3.技術 @経済を成長させ、仕事を創造する原動力 A企業の競争と生存の重要な要素 3.企業内の研究所 3.1.組織形態 ポイント ・効率化とスピードアップ・トップが研究開発の実態を把握できるか ・経営戦略立案に技術マネジメントを反映できるか ・技術者の人事・処遇・研究所の活性化と生産性向上 ・研究を工場や他の研究所にバトンタッチするか、最後まで研究所内でやるか ・研究所の自主運営   最近は 社長─┬─(開発本部)−研究所 │ └─ 事業部  −研究所 という組織形態が増えている他、  プロジェクト制の導入が目立つ。 元来、経営戦略と研究開発戦略は融合されたものであった。 それが、組織拡大と共に機能別組織に分化し乖離が目立つようになった。 原点に戻り、再融合と情報共有が必要に 3.2.研究所への期待 @新製品開発 A既存製品の改良 B生産プロセスの改良 C新技術・先端技術の研究開発 D共通基盤・業際技術の研究開発 E知的財産権の確保・蓄積 F人材の育成 3.3.テーマ発掘(開発テーマの求め方) (1)WHO    @広く一般社員の提案によるもの   A営業マンの提案によるもの   B研究者・技術者の発案によるもの   Cトップマネジメントの指示によるもの   D外部のコンサルタント等によるもの    どれが良いかは一概には言えないが、本当にシ−ズを知っている者がニ−ズの   探索を行い、商品コンセプトの概念を創造することが望ましい。 (2)HOW   @技術・市場動向からの絞り込み   Aワ−キング・グル−プの編成   B研究者のシ−ズからの展開   C企画手法の活用   D自分の発想からの企画化   E創造的開発手法(NM法等)活用 ・環境分析  変化の先取り  外部環境の動向把握、  内部環境(自社の強みと弱み)把握→「思い入れ」のある計画 大切なのは意欲(好き)とチャレンジ精神+技術力、技術予測、論理思考 +IT(情報技術)の進化に対応できる+国際的視野で物事に対応できる +人望(温かさ、大胆かつ細心、バランス感覚、プラス思考「夢と感動を」)・人脈 (3)WHAT 大 企 業→総合力の発揮、技術の多毛作 ベンチャー→コアコンピタンス(部品、加工、設計技術等)集中 ネットワークで相互補完 但し、・アプリケーションの提案 ・インフラや半導体等の部品・要素技術との組み合わせ ・コンセプトの開発等が必要 4) (主要企業の1997年開発テーマ) ・三菱電機 @PHS、衛星とイントラネットとの接続技術 ADRAMを内臓するマイクロコントローラの大容量化 B1GビットDRAM等、設計ルール0.15μmのLSI製造技術 Cリアルタイム性に優れた産業用コンピュータ D家庭内の情報ネットワークシステム ・日立製作所 @電子商取引関連システム技術 Aインターネット/イントラネット対応技術 BCDMA方式の無線通信システム技術 ・東芝 @マルチメディア通信技術 Aモバイルコンピューティング技術 B設計ルール0.1μmの次世代半導体基礎技術 ・NTT @情報流通プラットフォーム Aメガメディアを実現するマルチメディアネットワーク Bテラ/ペタビット級の全光ネットワーク ・NEC @広帯域の光・無線アクセス技術 A超並列コンピュータとソフトウェア Bマルチメディア情報ロジスティクス ・富士通 @光アクセスシステム Aネットワークコンピューティング B大容量光ディスク ・日本IBM @低消費電力ノートパソコン、携帯型情報端末 Aディジタル化した著作物の著作権の保護技術 BJava言語を使ったミドルウェア ・ソニー @ソフトウェア関連技術 A通信・ネットワーク技術 B信号処理・帯域圧縮技術 ・松下電器産業 @DVD用メモリ Aマルチメディア信号処理プロセッサ B400インチ以上の大型フラットパネルディスプレイ 4.スピード経営の時代 6) 4.1.情報通信の世界はドッグイヤー (犬の1才が人間の7才に相当することから通常の世界の7年分の変化が 1年間で起こる事を指す) 例:マルチメディアの主役 80年代→データ通信(電話線で音声、FAX、データが送れる) 1993→セガサターン等ゲーム機 1994→CD−ROM搭載パソコン 1995→インターネット 1996→イントラネット、DVD 1997→ エクストラネット、電子商取引 4.2.スピードアップを迫られる商品開発 開発費の増加よりも、上市が遅れる方が収益に与える影響が大きい 従来は「上市時に次機種の開発完了」(機能のアップだけでも顧客は満足した) 現在は上市後の営業情報の早期反映がキー ↓ 7) 市場対話型のR&D ┌────────────────────────────────────┐ │R&D戦略 │ │ → 評価修正 → 事業化決定 │ │多角化戦略 │ └────────────────────────────────────┘ ↓↑ ↓↑ ↓↑ ┌───────────── 研 究 開 発 ─────────────┐ │ │ ┌─┤ フィージ 技術・商品 テーマ 技術 テスト ├─┐ │ │アイデア →ビリティ → → →開発 → →マーケ │ │ │ │ スタディ コンセプト 設定 商品 ティング │ 事 │ └──────────────────────────────────┘ 業 │ ↓ ↑ ↓↑ ↓↑ 化 │ ┌──────────────────────────────────┐ │ └─┤ ユ ー ザ ー ├─┘ │ マーケット │ └──────────────────────────────────┘ 7) 市場対話型のR&D 従来、営業・製造と情報を共有するために定期的に開催していた開発テーマ設定・検討 会議だけでは対応できなくなってきた。 ベンチャー型のプロジェクト会議や各部門の部長級が集合する検討会議が重要に 営業・技術双方の方言を理解するプロジェクトマネージャーの存在がサイクル回転のキー 4.3.研究開発の効率化・生産性向上 研究開発の生産性 ∞ 課題策定力 × 目標設定力 × 目標達成力 × 成果の事業化力 ↑ ↑ ↑ 良いテーマ 目標絞込み 計画作成・実施 ↑ ↑ ↑ 営業・市場情報 製造・営業・流通 特に、最初と最後が重要だが、ここで 他部門との連係・情報共有が必要 ↓ プロジェクト制の採用、プロダクトマネージャーが横串で統括等 5.情報化の進展とその利用 5.1.ネットワーク革命の10年 理論則:拡張メトカーフの法則:PCのパワーはチップ集積度の2乗に比例 ネットワークパワーはノード数の2乗に比例 経験則:拡張ムーアの法則 :チップの集積度は18ヶ月で倍増 ネットワークの規模は年々倍増 結論は?(3年間で1024倍) 5.2.今は第三の波(智業化→情報革命) 第二の波 第三の波 商業化 智業化 産業革命 情報革命 テクノスペース サイバースペース 経済的エンパワメント 知的エンパワメント 5.3.創業経費節減手段としての情報化 営業所を廃し、全員をモバイルワーカー化(エーザイ ジェネリック) 留守番電話を活用した簡易テレメトリー 営業、アトリエ、自宅をネットワーク化 キーは最新技術の導入ではなく、オールドメディアの低価格化という副次効果の活用 参考文献  1)浦川 卓也:"市場創造の研究開発マネジメント",pp11,ダイヤモンド社,1996.9.12  2)児玉 文雄:"ハイテク時代のパラダイム"pp13,中央公論社,1991.6月  3)L.W.Steel:"MANAGING TECHNOLOGY",McGraw-Hill,1989  4)電子 pp36〜49,日本電子機械工業会,1996.2.1 5)日経エレクトロニクスpp81〜112,日経BP社,1997.1.6 6)公文 俊平:電子情報通信学会講演他  7)浦川 卓也:"市場創造の研究開発マネジメント",pp63,ダイヤモンド社,1996.9.12